抱きしめられたまま、恐る恐る見上げてみた。
予想外すぎる紅亜くんの表情は、心臓を穏やかにする薬に頼りたいほど僕のハートを暴れさせる。
恥ずかしそうに歪む口元を腕で隠しながら耳まで真っ赤に染まっているなんて、僕の魔王様はなんてかわいいんだろう。
羞恥心で揺れる漆黒の瞳と視線が絡まった。
「今は余裕がない、キョトン目で俺を見るな」
ダークをまとう普段の紅亜くんとの可愛さギャップに、再び僕の心臓がしびれ狂う。
「好きな奴から急にほめられると、心臓がバグるって言ってんの」
「あぁもう!」と気まずそうに頭をかいた紅亜くんは「バイバイするまで若葉の顔が見れなくなった」と眉頭をよせ、僕に絡ませていた腕をほどき一人歩き出してしまった。
「ちょっと待って」
小走りで好きな人の背中を追いかける。
制服の上からでも鍛えているのがわかる背中は、なんて頼りがいがあるんだろう。
後ろから抱き着いて癒されたい。
そんなことをしたらまた、紅亜くんが照れ吠えしちゃうかな。
紅亜くんの半歩後ろをキープしながら、恋という名のときめきでハートが虹色に満たされていく。



