「わわわっ、いきなりなに? なんでお姫様抱っこ?」

「告白してくれた若葉の可愛い顔を、至近距離で拝みたいなって思って」

「だからさっきのは告白じゃないから!」

「じゃあなに?」

「幼なじみとしてずっと秘めてきた思いを言語化しようとしたら、てんぱって変なことを口走っちゃったてきな」

「俺が嫌いってことであってる?」

「嫌い? 僕が甘音くんを? そんなこと一言も言ってないじゃん!」

「フフフ、それ照れ隠し? 長い前髪で顔を隠そうとしてる、可愛い可愛い」

「甘音くんは幼稚園のころから、可愛いを安易に連呼しすぎ」

「心から思った時にしか言わないけどね」

「近い近い、顔離して」

「ダーメ、思う存分可愛い若葉を愛でさせて」

「また僕のことを可愛いって言った。下ろしてよ。僕の家の庭だし、近所の人に見られたら恥ずかしい」

「大丈夫、誰もいないよ」

「あの高いマンションから観てる人もいるかもしれないし」

「俺は見せつけたいけど。俺の恋人はこんなに可愛いですって」

「それって……」

「若葉、俺を見て」