「若葉のために、次も俺がシュートを決めるからね」
甘音くんはさらに笑顔を甘くして、僕の頭をポンポン。
僕の黒髪に指を絡めたのち、ご機嫌でコート中央に走って行っちゃったんだけど、僕は笑顔なんて作れない。
記憶喪失になる前の僕だったら、甘音くんの笑顔を独占してるだけでハートがルンルンに飛び跳ねていたと思うよ。
甘音くんに絶賛片思い中だかったら。
でも今は、ただただ怖いと言いますか……
背中に突き刺さっている鋭い視線が、恐怖すぎると言いますか……
現実を知るのが怖いなか、恐る恐る振り返る。
ひぃえぇぇ!
「完璧な俺は若葉の一番にはなれない?」
震えまじりの辛そうな声。
「どういう意味?」と驚き、慌てて顔を上げる。
「なんでもない、今のは忘れてね」
「でも……」
ゾンビに遭遇したときなみに全身が震えちゃった。
紅亜くんがわかりやすいくらいご機嫌斜めなんですけど。
目も眉も吊り上がっていて、怒りの視線がギラギラと突き刺さってくるんですけど。



