「きゃぁあぁぁ、紅亜先輩かっこいい!」
客席が甲高い悲鳴で沸き上がっている中、僕はうなだれてしまった。
敵と味方を合わせて6人がこのコートで汗を流しているが、僕だけレベルが低い。
運動は嫌いじゃない。
ドリブルもシュートも人並みだと思う。
そう、僕だけが人並みなんだ。
他の5人がうますぎるんだ。
元バスケ部員3人はうまくて当たり前だし、紅亜くんと甘音くんは子供のころからなんでも起用にこなしてしまう。
「やっぱり我が弟は強敵だな」
額の汗を拭うだけでも、キレイ系の甘音くんは絵になる。
「作戦があるんだけど」
同じチームの永井くんがコートの外でスポーツドリンクを喉に流し込んでいるなか、甘音くんは僕だけに微笑んだ。
「涼しい顔でシュートをバンバン決める紅亜のメンタルを、派手に壊してやろうかと思って」
なっなんか怖いよ、甘音くんの王子様スマイル。
優しい瞳が闇に染まっているような。
甘音くんは僕の耳に唇を近づけ、オルゴールみたいな癒し声でとんでもない提案をしてきたから、目が飛び出しそうになっちゃった。



