「甘音くん、僕の話ちゃんと聞いてる?」



 ぬくもりのある手のひらで両頬が包まれた。

 膝立ちした若葉の真剣な顔が斜め上にあってドキっ。

 心臓が恋のトランポリン並みに大揺れする。

 白い肌にはめ込まれた真ん丸な目、それに小ぶりな鼻と口、どの顔面パーツも愛おしいな。

 いま俺が若葉の瞳を独占している。

 この先ずっと、若葉の瞳に俺以外映らなければいいのに。



「ささっさっきのはね、こここっ告白ではないよ。ないけど……」



 ハッとなった若葉は、俺の頬から手を離した。

 三角座りをはじめ、恥ずかしそうに片ほほをひざに押し当てている。

「甘音くんと幼なじみ以上になりたいって思いもあって」と、消えそうな声でぼそり。



「それがなんなんだって聞かれたら、恋人ってなっちゃうけど……甘音くんは高校で大人気な生徒会長で、いつもおっとり微笑んでるし頼りがいもあるから男子にも女子にも大人気で、僕が独占めしちゃダメだってわかってるし。でもでもやっぱりしたいなって……甘音くんのこと……独り占め……」



 戸惑いながら瞳を揺らす若葉と視線が絡み、心臓が焼けこげそうになる。