メロンクリームソーダを2個作っているってことは、部屋に持っていって若葉と飲むつもりなんだろう。
若葉の好物を差し出して、彼氏としての好感度を上げる作戦か。
やることが低レベル……って言いたいところだけど、俺もか。
付き合っていた1か月間、俺もメロンクリームソーダを若葉につくってあげていたな。
小学生のころ、庭に広げたテントの中での出来事を思い出す。
出されたメロンクリームソーダを見て、若葉は嬉しそうに笑っていた。
『メロンクリームソーダって僕たちみたいじゃない? 僕がシュワシュワなメロンソーダで、優しい甘音くんはバニラアイス、一番上でキラキラしてる真っ赤なサクランボは紅亜くん。3人ずっと仲良しでいられるね』
小さいころから俺と紅亜は仲が悪い双子だった。
まぁ現在進行中だけど。
双子という関係が、俺たちに合わなかったんだと思う。
どっちが勉強ができる、運動会ではこっちが早かった。
双子というだけでありとあらゆることで比べられた。
負ければ自尊心が傷つくし、勝っても喜んでばかりはいられない。
この先追い抜かれないように努力し続けなきゃと、プレッシャーが増すばかりで。
俺も紅亜も、心の守り方がお互いを拒絶することだったんだろう。
双子なのにほとんど会話をしない、目も合わさない。
必要最低限の言葉を吐き捨て、相手の前から消える。
仲が悪い俺たちを結び付けていたのが、若葉だった。
小学校までは家が隣同士ということもあり、遊び場は若葉の家の庭か、雨でも平気な我が家のカーポートの下。
俺と紅亜は同じ空間にいたくない。
でも若葉とは遊びたい。
若葉としゃべりたい、笑顔が見たい、とびきり喜ばせたい。
だからしょうがなく、俺たち双子は若葉と遊ぶ時だけ一緒に過ごしたんだ。



