病院着の袖で恥ずかしそうに口元を隠した若葉。
その照れ顔を俺は知っている。
愛おしいなと、今まで何度俺の頬が緩んだことか。
若葉が頬を恋色に染めるのは、俺に対してだけだと思っていた。
一生そうだったらいいなと願い続けてきた。
でも紅亜のことを思いだす若葉は、まさに恋する男子。
目の前にいる俺は、若葉の恋の瞳に全く映っていない。
悲しみに飲み込まれそうになる。
宝物を奪われた怒りで狂いそうになる。
ただ、今は冷静さを保たなければ。
一番大事なのは若葉の体だ。
感情まかせに問い詰めれば、若葉の脳が混乱する。
記憶が戻るどこか悪化の一途をたどり、記憶が改変される可能性だってある。
しょうがない、今は若葉の恋人の優しいお兄さんを演じ続けよう。
家に帰り、廊下ですれ違った紅亜の腕を掴んだ。
『紅亜、なんで若葉に嘘を吹き込んだの?』
いら立ちをぶつけるも、紅亜は不機嫌な顔で俺をにらみ逆ギレ。



