若葉は本当に忘れてしまったの?
俺に告白をしてくれたよね。
この1か月、みんなには内緒でこっそり俺と付き合っていたでしょ。
問い詰めそうになった。
思い出してと若葉の体を揺すりそうになった。
でも看護師さんからの忠告を思いだし
(若葉の脳を混乱させちゃダメだ)
悔しさで唇をぎゅっと閉じる。
耳を塞ぎたくなったのは、若葉の口から俺の双子の弟・紅亜の話ばかりでてくるから。
『僕ね紅亜くんにものすごく迷惑をかけちゃったの。僕の意識が戻らない中、ずっと手を握っててくれたんだって』
高校で若葉と再会してから、若葉をずっと避けてきたあの紅亜が?
紅亜が若葉を好きだということは、小学校のころから気づいていた。
初恋をこじらせすぎてどう若葉と接していいかわからない紅亜のことを、恋にヘタレなあまのじゃくだなと斜め上から見下ろしていたのに、立場が逆転してしまうなんて。
『僕が階段から落ちた時、そばにいたのに助けられなくてごめんって紅亜くんに謝られたの。僕を睨んでばっかの紅亜くんが平謝りなんだもん、照れ吠えまじりだったけど。紅亜くんって人間拒絶体質っぽいけど、恋人には優しいんだね。愛されてるってことなのかな。アハハ、なんか彼氏のことを話したら恥ずかしくなってきちゃった』



