『俺は学校のみんなに言いたいよ、若葉は俺の恋人ですって』
『僕は絶対にイヤ』
『若葉だって言ってたでしょ。俺に告白してくる女子がゼロになればいいなって』
『甘音くんはモテすぎなんだもん』
『元生徒会長で同じ顔で人格真逆の紅亜がこの高校にいるから、知名度があるってだけ』
『僕たちが付き合ってることをみんなに内緒にしてくれるって、約束してくれたのに』
『なんで若葉は俺との関係を知られたくないの? 一生隠し通すつもり?』
『一生は……嫌だけど……』
若葉は屋上の柵を両手で握りしめながらうつむいてしまった。
辛そうな顔で口をぎゅっと閉じ、泣きそうな顔で体を震わせて。
そして薄い唇を少しだけ開いてぼそり。
『1か月記念日の放課後デート……今日……行くのやめとく……』
消えそうな声だけを残し、屋上から去ってしまった。
そのあと、午後の授業が始まっても若葉は教室に戻ってこなくて。
(さっきはごめんね)とスマホにメッセージを送ったが、既読にすらならず。
放課後、若葉のスクールバックを取りに来た先生を問い詰めた。



