『僕はいやだよ』
『なんで?』
『友達みんながいい人だっていうのは知ってるよ、みんな僕に優しいし。でも男同士で付き合ってるなんて伝えたら、なんて思われるかわからないでしょ。怖いよ、このままがいいよ……』
ここで俺は、若葉の不安に寄り添ってあげるべきだった。
(若葉が嫌がることはしないよ。若葉のことが大好きだからね)と、優しい王子様を演じきればよかった。
ただあの時の俺にそんな心の余裕はなく――
(明るくて楽しそうに笑う若葉の周りには、男女関係なく同級生が群がってくる。
若葉はちょっぴりドジで危なっかしさを持ちあわせた弟タイプだから、みんな若葉をかまいたくなったり助けてあげたくなったりするんだよ。
若葉を狙う女子が5人は存在するって気づいてる?
いやいや、まったく気づいてないよね)
危機感のなさが心配でたまらなかった。
若葉がほかの人にとられないか毎日気が気じゃなかった。
だからこそ俺は、付き合っていることを公表したかったんだ。



