ドアと対面状態でうつむく僕の湿った涙腺は、いつのまにか涙を製造するのを忘れていた。
僕の鼓膜を揺らす二人分の足音。
びくっと体が跳ねあがったのは、両肩に温度を感じたから。
恐る恐る振り返り、視線を上げる。
「うわっ」と声が出た、目も見開いちゃった。
目の前に迫っているんですけど、二つの麗しいお顔が……
「逃げなくていいのかよ。お前の瞳に俺らが映ってるけど」
白い歯の隙間から、イヒヒと笑いがこぼれている紅亜くんにドキリ。
甘音くんは目にかかる僕の前髪を指でつまむように撫で「若葉は嫉妬してくれてたんだね、嬉しいなぁ」とニマニマ微笑んでいる。
恥ずかしさで燃える背中がくすぐったい。
さっき僕は、二人にどんな悲しみをぶつけたんだっけ。
『二人とも僕のことはほっといて! もう僕の瞳に映らないで! 学校でも話かけないで!』
じゃないと……
『嫌いになれないから! 僕のことを好きって言ってくれたのにって、僕だけに優しくしてよって、恋人でもないのに嫉妬しちゃうから!』
うわっ、とりかたによっては告白じゃないか!
いやいや、愛の告白としか思えないわめきだったに違いない。



