記憶喪失中だからいいだろうと僕に別れも告げず、鈴ちゃんと付き合いだした甘音くん。
兄の心を痛めつけたかったという理由で、好きでもないのに恋人のふりをしていた紅亜くん。
(僕から鈴ちゃんに心変わりをした甘音くんには、なんのダメージにもなってなかったと思うけど)
この二人にどんな顔を向ければいいの?
怒り顔? 悲しみ顔?
歯を食いしばり握りしめたこぶしを震わせている今の僕からは、怒りも悲しみもにじみ出ていると思うけど。
僕の目の前に並ぶ双子に、苦しみで震えるこの感情をぶつけたい。
家が隣同士だったからって、一緒に遊ばなきゃよかった。
幼なじみになんてなるんじゃなかった。
二人のことを好きになるんじゃなかった。
苦しいよ、耐えられないよ、僕を楽にさせてよ。
悲鳴を上げる心臓。
握りつぶされたような激痛が走り、痛みを床に逃がしたくて荒い呼吸を何度も繰り返す。
「若葉?」
「大丈夫か?」



