何かを諦めたように溜息を吐いた紅亜くんは、椅子の背に背中をあずけふんぞり返ってしまいました。

 アハハ、小学生のころのヤンチャな紅亜くんとおしゃべりしているみたいで楽しいな。



 小6で紅亜くん家族が引っ越すまで、家が隣同士だった。

 僕、紅亜くん、甘音くんの3人でよく遊んでいた。

 紅亜くんっていうワイルドイケメンを例えるなら【あまのじゃく】

 怒っている時だけじゃない、嬉しい時も悲しい時も怒鳴っちゃうところがあるんだよ。

 物心つく頃から、紅亜くんの怒鳴りには免疫がある。

 それでもって今は幼なじみを卒業。

 僕たちは恋人同士……の……はず?

 一週間前、病室で目を覚ました僕に向って紅亜くんがそう言った。

 恥ずかしさで死にそうなくらい顔を赤らめ怒鳴りながら、恋人同士だって言い切った。

 だから間違いないとは思うけど。


 ――本当に僕と紅亜くんは付き合っているんだよね?


 だって不思議なんだ。

 小学校の卒業式以降、紅亜くんとは疎遠になった。

 高校で再会したものの、紅亜くんは近寄るなオーラギラギラで僕をわかりやすく拒絶。

 僕と関わりたくないんだろうなと察し、彼から距離を置いていたんだけど。