メロンクリームソーダトライアングル


「本当のことを伝えなかったのは若葉のためじゃない! 怖かったんだ。若葉の恋人は俺だったと真実を伝えて、紅亜を好きになっちゃったからごめんと突き放されるのが。紅亜と一緒にいる若葉が楽しそうに笑ってたから……俺と二人でいる時よりも幸せそうに見えたから……自信がなくて……これ以上傷つきたくなくて……」



 荒ぶった甘音の弱音が、涙と一緒に俺の部屋に溶ける。

 返す言葉がない。

 甘音もこれ以上何も訴えてこない。
 
 静寂の中、甘音の鼻をすする音だけがこだまする。

 再びうつむいた甘音は廃人のようにうなだれていて、俺は組んでいた足を左右入れ替え天井を見つめた。



 吊り上がりぎみの俺の目は、今まで何を見てきたんだろうな。

 生まれてからずっと、俺の脳は甘音を敵として認識していた。

 人に好かれる才能を俺の分まで全てかっさらって生まれてきたキラキラ人間、それが都守(ともり)甘音。

 おっとりにっこりの王子様笑顔は癒しの波動でも放ってんのかってくらい人を笑顔に変えれるし。

 頼りがいがあって、優しさの塊みたいなやつで。

 生まれてきた時代と世界と性別が違ったら、国や民を救う聖女になりえたんじゃねーのってほどの、パーフェクト人間。

 性格も思考も闇色に染まっている人間拒絶タイプの俺とは正反対。