「座れば」
俺の隣をポンポンと叩いたら
「紅亜にすすめられなくても座る気だったし」と弱気な生意気声が返ってきた。
反論する気力はあるんじゃん、ほんとかわいくねぇと、好感度交じりのあきれ笑いが口角に宿る。
「じゃあ座れよ」
「やめて命令口調……弟のくせに子供のころから紅亜は上から目線で……」
「双子だろう―が。誕生日一緒だろーが。俺とオマエの間に上下関係は存在しないんだよ」
「でも俺の方が……先に生まれてきたし……」
「母親の腹の中で、出口に近いとこ陣取りやがって」
「紅亜にお兄さんづらされるのはごめんだったからね」
「こっちはな、18年間お前に兄貴づらされてムカつきまくって、全ての顔面パーツが吊り上がったんだよ、整形代を請求してやるからな」
「自分の顔、嫌いじゃないくせに」
甘音は俺への文句をぶつけ終わると、ふてくされた顔で俺の隣にお尻を鎮めた。
今のでストレス発散になったんじゃねーのかよ。
顔に王子スマイルが戻るかと思いきや、苦しそうに表情を歪めながらまたうつむいて。
痛々しい甘音を見ていられなくなり、視線を天井に逃がす。



