嵐のあとの綺麗な空

私と別れた後の悠翔は、
まるで野に放たれたみたいだったらしい。

クラブで朝まで遊んだり、
夜のお店でシャンパン開けたり。
「女の子何人も連れてる」って噂まで耳に入ってきた。

……そんな人だったんだ。
正直、幻滅した。
でも同時に、
「ああ、やっぱり遊びたかったんだね」って、妙に納得もした。

颯太も気づいたら彩花ちゃんと別れてた。
理由は聞かなかったけど、なんとなく察した。

そして、いつの間にか
あの仲良かったグループで大人数で集まることもなくなった。
個々では会うけど、昔みたいにみんなでワイワイは、もうない。

代わりに、私と颯太が会う回数だけが増えた。

コンビニの前とか、夜の海とか、
昔みたいに2人で過ごす時間。

私は泣くことが減ったけど、
颯太はわざと失恋ソング流してきて、
「ほら、泣け泣け〜」ってからかったりする。

「うるさい! もう泣かないもん!」
って言い返しながら、結局涙が出たりして。

でも、そんなやり取りが
だんだん心地よくなってきて。

ある夜、颯太の車の中で
昔好きだったバンドの曲が流れたとき、
私はふと言った。

「……ねえ、この曲覚えてる?」

颯太は少しだけ笑って、
「助手席で初めて聞いたやつだろ?」って。

その瞬間、胸がぎゅっと熱くなった。

悠翔のことは、もうほとんど思い出さなくなってた。
代わりに、
また颯太の方に、気持ちが傾いてるのが
自分でもはっきりわかった。

「颯太くん……」
名前を呼んだら、颯太は私をちらっと見て、
すぐに前を向いたまま、

「……また、俺の車乗る?」

って、小さく呟いた。