甘々とロマンス中毒

𓂃❁⃘𓈒𓏸

バニラの匂いが鼻腔を刺激した。
一咲から漂う香りだ。

華奢な肩口に頭を押し当てれば、また、体に染み付く。

抱きしめる力を緩めて一咲を覗いた。
マシュマロのように真っ白な肌が、涙に負けて頬を中心に薄らと赤らんでいる。

あ゛ー…クソ、かわいいな……。

こんなときでさえ、邪な思いに耽る俺は悪い男だ。一咲の泣き顔を目にして、胸の奥に甘ったるいものを溜めるなど、どうかしている。

気を紛らわせようと柔らかな頬を軽く摘んだ。
照明の光を集めて微かに煌めく上向きの睫毛が、狂おしいほど、愛おしくて。

そっと指先を引いた。


『一咲に誤解されんの、堪えるな』


漏れた言葉は、ゲームセンター内で響き渡る騒音に隠された。

小さく小首を傾げる一咲は、ぱちぱちと瞬きするだけ。

彼女には聞こえていないらしい。
今は、聞こえない方がいい。


「一咲、ヤキモチ?」

「…………うん」