甘々とロマンス中毒

背中に回された腕が私を抱きしめる。引き寄せられた体は、あやちゃんの胸元に密着して、否が応にも離れない。

ぽろぽろと涙が溢れた。肩を震わせる私に、ローズマリーの香りが優しく溶け込む。心地良いのに胸がきゅうっと切ないの。

嘘も解かれて、菫花さんにヤキモチして、私は子どもだって、泣き虫だって幻滅された。

あやちゃんと会えるのも、今日で最後かもしれない。

「……っ(そんなのヤダなぁ)」

泣きじゃくる私の頭を、あやちゃんが柔らかく撫でつけた。ぽん、ぽん…と掌が後頭部を上下する度、涙の雨は永遠に流れる。

鼻を啜って、アイシャドウも落ちたであろう瞼を指の腹で何度も擦り「……ふぇ、ぐすっ」と、嗚咽したとき、ふわり。言葉が降ってくる。

「菫花のことだけど」そう、切り出された。滲む視界の真ん中で、あやちゃんを見つけて「彼女、だったの…?」と、尋ねた。


「違う。菫花は、これからも“友だち”。今も昔も、一咲が思ってるような関係じゃない。付き合ったこともないし、付き合うこともないよ」

「……」

「不安にさせてごめん」


あやちゃんが、ゆっくり私を覗き込んだ。
やっぱり、頬を摘まれて。


『一咲に誤解されんの、堪えるな』


たぶん、きっと、もう———…

その、静かな熱に濡れた瞳から、逃げることはできない。