甘々とロマンス中毒

「バッチリだったよ」
「お客さんたちが“可愛い”って言ってるの聞こえちゃった〜〜。やったね」

「(あやちゃんのコトかなぁ)」

出迎えてくれた牧ちゃんたちと、小さな音を鳴らしてハイタッチする。気恥ずかしくなって、俯き加減でいると、横から「飲む?」と、千花くんからペットボトルが手渡された。「ウン。ありがとー」と、受け取ったお水を一口含んだ。

「一咲ちゃん、ほんとに赤ずきん役がぴったりだね」なんて、更に重ねて褒められて、口元がむずむず。残りの演技も頑張ります!と気合いが入るの。

暫し、休憩タイムに入った私は、舞台の袖から小さく身を乗り出した。

あやちゃんに焦点を定めて。じい…と熱を送る。すると、あやちゃんが私に視線を這わせる。誰にも気づかれないように、膝の上に置いた手を振ってくれた。私も振り返す。ぽっと、心が踊る。

菖くんのセリフに合わせ、ナレーションが続く。


「お取り込み中悪いけど、一咲ちゃんそろそろ出番だよ」

千花くんだ。肩が飛び跳ねる。

「はぁい」

「イチャついてるとこ、ごめんね」

「………」

千花くんが意地悪に、べ!と舌を出した。

「……はあい」


なんだか、最近の千花くんは菖くんぽい。
仲良しだから似てきたのかな。

こと。と、首を傾げる一方で。後方では、衣装班と道具班の女子たちが騒ぐ声が聞こえる。振り返った。