甘々とロマンス中毒

「一咲ちゃん、最近ずっと楽しそうだからさ」

「ソ…ソウ?また、顔に出ちゃってた…?」

「ん」
「…………」

ほっぺを横にむに、と引っ張る。口を結んで無表情にしてみる。千花くんに「どう、かな…」と、尋ねた。

「隠せてないよ」

持ち上げたマシュマロほっぺから掌をぱっと離すと、くーるに仕上げた表情は一瞬にして崩れた。

「ひゃあ…っ」


小さな声が飛び跳ねる。
視線を落とす千花くんが眉尻を下げた。


「一咲ちゃんのそう言うところ…ほんと………」

言いかける千花くんは、続きを濁す。

「(ほんと?……なに?)」

「あーあ」


初めて耳にした低い声。いつもの柔らかさはそこにはなくて、千花くんは大きな息を吐き出した。「………やめとこ」なにかを決意したように呟く。


「あわよくば…って。邪魔する気満々だったけど、割り込む隙、ないんだもんな」

千花くんが私を覗いた。

「今度、菖と一緒にあやみさんのとこ遊びに行こうかな。どうせ、一咲ちゃんもいるんでしょ」

「エエッ!?なんのコト……」

「いや、バレバレだって」

指摘されて、顔が朱色に染まる。
黙り込む私を他所に「ふ…」と、笑い声が転がった。

「あやみさんに“もう、邪魔しません”って伝えといてよ」

「だ…っ。だから、なんの話…?」

「一咲ちゃんは知らなくていい」


千花くんの唇に笑みがのった。