甘々とロマンス中毒

「あやみ…くん、お待たせ」

ぎこちない口調で少し拗ねる、微かに震えた声が宙を舞った。初めて名前をちゃんと呼んだ。

あやちゃんを強く抱きしめる私の鼓動は、ゆったりと駆け足になっていく。

「う、わ…」と、驚きざまに振り返り、瞬きをしたあやちゃん。一拍置いた私はハッと我に返る。


「(あやちゃん、きょとんって顔してる!なにもかも突然すぎたっ)」

「……いもうとさん?」

女の人が私を覗き込んだ。丁寧に整えられたふんわり眉が下がっており、困惑してるのだと知る。

「雪村さん、妹さんがいるの?」
「〜〜〜っ!(妹じゃない…です!)」


悪気なく尋ねる女の人に、心の真ん中でムッとしてしまう。

「あ…ぅ」と、私の言葉尻が途切れた。ちゃんと伝えたいのに、気持ちがちょこっと沈んでしまったの。しゅん…と落ちて。視線も俯き加減になる。

妹にしか見えないのかなぁ。

弱気になってるところへ、あやちゃんが私の手を引っ張り指先を繋いだ。


「———…キャ」

「僕の可愛い恋人です」

「エ……ハイ……?……………恋人っ!?」

「僕たち、これからデートなので先に失礼します」


言い切ったあやちゃんは、女の人に会釈して、私を連れて街を歩く。私を離さない指先から温かくて甘い熱を感じた。