甘々とロマンス中毒

「お邪魔しました。あやちゃん、またね」

「ん」

玄関先で見送られ、ささやかに手を振る。あやちゃんも振り返してくれるけど、顔は横にそれたままだ。

はあ…。なんて長いため息が、あやちゃんの唇から落ちたのを耳に拾う。


「ほんとは、帰したくないけど」

黒曜の双眸が睫毛に薄ら影を宿す。ゆらりと、あやちゃんの視線が、私から外れるのを目で追った。

「ん〜〜。ダメ…今日は帰る日だから」
「あ゛ーー……。ですよね」

足元は玄関から離れない。
私も帰りたくないよ。だから………。

「あやちゃん、目を瞑ってください。あ、あと…屈んで?」

と、辿々しくお願いした。

「ふ。どうぞ?」

「(なにするのかバレちゃってる)」


口元に笑みをすくあやちゃんが、私の身長に合わせて腰を折り、屈む。それでも、背伸びしないと届かないの。

ゆっくり、ほんの少しね、踵を浮かせて。
目を閉じるあやちゃんとの距離を縮めるんだ。

いつも、私に優しく触れる指先をそっと握った。ぴくりと反応がある。あやちゃんの熱に絆されて、鼓動は張り裂けそうなくらいに急上昇する。鼻先を掠める息が、微かに揺れる。

ちゅ、と。
くっついてすぐ離れるかわいいキスをした。


「……………」
「……………」

きゃああっ。私からしちゃった…っ!!

「今のは反則すぎるだろ」

金髪を掻き上げたあやちゃんと、瞬きの間に視線が絡まった。全身が、火傷をしたみたいに真っ赤になっていくのを感じるけど、私からキスをしたことで大胆不敵になったようにも覚える。

ええいっ。いっちゃえ!

「しばらく会えないけど、コレで充電ね…?」
「(やっぱり帰したくなくなった)」


あやちゃんに、ぎゅ…と抱きついた。