甘々とロマンス中毒

ゆらり、あやちゃんを見上げた。睫毛にかかる前髪を攫ってくれる。ぱち…と、どちらからでもなく交差する視線を結んで、私の口元が綻んだ。


「何回、言っても足りないね」

気恥ずかしさに胸の奥がくすぐったくなる。

「これからも、もっと、いっぱい大好きって伝えます」


照れる笑みが煌めいた。あやちゃんが微笑み返してくれる。そんな些細な仕草にも、一咲の鼓動はとくとく駆け足になる。

ローズマリーの香りが鼻先を掠めた。
華やかで上品な甘い匂いは、あやちゃんのもの。

私に近づいて、首筋に軽いキスを残していった。
静寂な部屋に可愛いリップ音が響いた。


「ひゃあ…っ」

「ふ」

あやちゃんの瞳が悪戯っぽく笑うの。

「びっ……くりしたぁ(きゅーに…!)」


厚い胸を叩いてあやちゃんに訴える。ぽかぽかと何度繰り返しても敵いっこなくて。
「も〜〜っ!」と、まあるく両頬を膨らます私を、あやちゃんは楽しげに眺める。跳ね上がった肩がようやく定位置に戻った。


「こう言うのするとき、ドキドキしてしんぞうが持たないから、ちゃんと合図してくれると嬉しいです」

うるうる涙目から、ころんと愛しい涙が一粒溢れる。

「例えばどんな?」

色っぽい声が耳を刺激した。狼狽える私のことなんてお構いなしに、あやちゃんが指先を手繰り寄た。

「ぁ……」

繋ぎ止め、手の甲に唇が触れた。まるで、王子さまがお姫さまにするような、童話の世界のワンシーンみたい。