甘々とロマンス中毒

おずおずと、こてんと首を傾げ、尋ねる。私を抱きしめるあやちゃんの、深い黒曜の双眸がまあるく揺らめく。

いつになく驚いてる様子が不思議で「ねえ、あやちゃん」と、私は唇を尖らせる。「ああ、悪い。一咲の方から甘えられるの初めてで…」そう言って、あやちゃんが不意に視線をそらした。

追いかけた先で、耳がほんのり赤らんでいるのを目にする。

あやちゃんも、ドキドキしてるの?


「だって、しばらく会えないんだもん。いっぱい、ぎゅうしたい。それに、あやちゃん家に来たときから、ずっとしたかったけど我慢してたの。今日の分は終わり…?ですか」

体勢を崩さず、あやちゃんが私を抱きしめたまま起き上がった。私はあやちゃんの膝に乗っかっている。

「そんなこと思ってねぇよ。俺は一咲を離すつもりない。今日は、一咲が満足するまで甘えてよ」


彼氏ムーブの甘さが一層増したあやちゃんに、一咲の心は高鳴りを隠せずにいる。

誰かが言ってたの。『恋人になったらトキメキ半分、恋心は薄れるよ』って。
おかしいなぁ。私のトキメキは急上昇だし、恋心は甘やかな熱を孕んだまま、冷めずにいれば、あやちゃんへの好きを更新し続けているの。


「一咲、ぎゅーして…。俺のことも甘やかしてね?」

ほら、ね…。あやちゃんに、低くて甘い声でお願いされると、胸がキューって疼いた。

「はあい」


あやちゃんが腕を広げる。はあ、と淡い息を吐いて。背中に腕を回す私の指先は震えたんだ。

「いさく」鼓膜の奥に滑る声音に、さっきまでの緊張が解けていった。あやちゃんの胸に顔を埋める。


「(なんだこれ。可愛すぎる…)」

「あやちゃん、だいすき」

「ん、知ってる。俺も大好きだよ。一咲が思ってるよりもずっと」

「うれしー。ふふ(やったぁ)」