甘々とロマンス中毒

なにが起こったのかわからなくて。
あたまとこころが、ちぐはぐで。

「……………(“ちゅう”って、なったの…?)」
「……………」

あやちゃんの掌がぽん、と軽やかな音を立てて私の頭上に触れるの。自分の指先を頬に滑らせた。

「(くちびるの…かんしょく。……そっかぁ)」

肌が触れ合った箇所が甘さに支配される。じんわり、熱を帯びていく。

「私、あやちゃんにキスされたんだ」と、誰に確認するでもない、呆気ない独り言を落とす。あやちゃんが拾って「そうだな」と、平坦に返した。

そうして、パンク寸前だった頭がようやく整理できたんだ。

あやちゃんが、一咲のマシュマロほっぺにキスしたってコト。

菖くんにため息つかれる妄想の世界でも、夜に眠るあまあまな夢の中でもない。紛れもない事実。

「!!!」

ボン…ッ!と、体中に集めた熱が爆発する。力が一気に抜けて、あやちゃんの胸に倒れ込むと、私の王子さまはキスを残した頬を撫でながら、眉尻を優しく垂らした。


「ごめんな。痛くなかった?」

「痛くないです」

甘噛みはむしろ、ご褒美…。

あやちゃんが私の頬を柔らかに摘んだ。

「上書き」

と、三回目。同じ場所にキスをする。

「ンッ!」

「かーわーい…」


思わず片目を瞑っちゃった。
ふ、とあやちゃんが唇の端を僅かに緩ませて笑う姿を、瞳に留めたとき、私の恋心の容量がとめどなく溢れた。


「(あやちゃん、ずるいよ)」

「つか、練習どころじゃなくなったな」

こくり。頷いて。

「ぎゅーもする?」


私から甘えるの。