甘々とロマンス中毒

「まあ、おばあさんの耳って、なんでこんなにおおきいの?」

「…………」

「…どう、でしょうか」

あやちゃんが私を見つめた。眼差しに息をのむ。

「(道のりは険しい…?)」

「感情込めて、言葉ひとつひとつ区切ること。目線はちゃんと俺を見て。台本ばっか見てたらダメだろ?」

「ハイ」

台本の横に揃えたメモ帳に、ボールペンを走らせてアドバイスを書く。教えてもらうことは全部、一言一句漏らさずに。

「かんじょー、言葉。目線はあやちゃん」と、呟く隣で「…ふふっ」と、笑う音を拾う。反応してあやちゃんの方を向く。「でも」と、あやちゃんが柔らかく言いながら前髪を撫でた。


「さっきより、赤ずきんになりきってる。教えたことちゃんとできて良い子」


ぱぁぁあっと、瞳の奥が煌めいた。
桜色の小さなハートがキラキラ散らばるのがわかる。

「(あやちゃん、大好き〜〜〜!!)」

だけど、褒められてふふんと上機嫌になるのも……ふにゃ、と溶けそうになる表情も厳禁です。

言葉でいっぱい伝えたいのも我慢します。

大根一咲は今日で卒業するって決めたから。
次の練習で菖くんをギャフンと言わせるのっ!


「スパルタでお願いしますっ」

———ドサ…ッ

「は…」

視界が揺らいだ。あやちゃんの綺麗な顔をどうしてか私が見下ろしていた。

「って、言われても…。オマエはたまに大胆なことするよな。俺のこと試してる?」


そう、ため息混じりに言われ気づいたの。

「(キャーー。キャーー。キャ〜〜〜)」

あやちゃんを押し倒した挙句、真上に乗りかかってる!!