甘々とロマンス中毒

「ん?」

「スキンシップが……エート。暑くない?……デスカ」

いくら冷房が効いてるとは言え、ソファの下でふたり並んで座り込み、あやちゃんの手が私の肩に回ってるこの状況は、顔が朱色に染まってもおかしくないの。

お家に入って少し休憩を挟んだ後、たくさん甘やかされて、くたくたになった。それでも、あやちゃんは私のマシュマロほっぺをふにふに触りながら「かわいーな」と、囁くのをやめなくて。

堪らなくなった私が「すとっぷ!〜〜〜っ、も…ぅ、ダメ」って、ギブアップしたのが10分前。
「…ふーん」と、つまらなさそうに、頬杖ついたあやちゃんへハッとなって、演技指導のご教示をお願いしたのも10分前。

「文化祭で赤ずきん役をするので、演技教えてください。菖くんに大根って言われちゃったの」

うるうる涙目で訴えた言い出しっぺは、平常心をどこかに置き忘れてきた。

ふるふる。頭を横に振った。

「(しゅーちゅー…りょく、持続してない。本番まで残り少ないのに…このままじゃ、みんなの劇を台無しにしちゃう)」

あやちゃんが私の口元を指で摘んだ。


「…や、ぁ〜〜〜〜…っ」

イチャ攻撃に恥ずかしがって目を瞬時に閉じる。

「…ふ」

低く掠れた笑い声が耳の奥を刺激する。

「全然、平気だけど。一咲は“なんで”暑いの?」
「〜〜〜っ」

わかってて聞かれてるやつだ。
あやちゃん、いじわる…。

肩に触れるあやちゃんの掌が、ぐっと強まる。更に距離も縮まる。ぴったりくっついちゃった。

「温度下げようか」

「…ウウン」

「じゃあ、いさく。続き」


私の膝にちょこんと置かれた『赤ずきんとオオカミ』の台本。そこへ視線を落としたあやちゃん。私は、への字に結んだ唇を、スンと戻して赤ずきんモードに入る。