甘々とロマンス中毒

王子さま改め彼氏さまは、言葉の魔法を操って、私を喜ばせる天才だ。曇りがかった気持ちが、一気に晴れやかになる。

菖くん的に言えば、あやちゃんに激メロなチョロい一咲になるの。

「(メイク直して…。前髪もコテで、もう少しくるんってしたいなぁ。“一番かわいい一咲”って思われたい)」

ヨシ。あやちゃんを待ってる間に、今日いちばんのとびきり可愛い私を作ろう。

そうと決まれば、重たかった足が天使の羽をつけたかの如く、浮遊感に包まれて。このまま飛んでしまいそうで。
わわっ。いけない…!

恋に夢中な意識をリセットする。
了解です!と、敬礼うさぎさんを押した。

《ゆっくりで大丈夫だよ〜〜!気をつけて来てね》

メッセージを送信する。ふにゃり、唇の端が嬉しく綻んでいるところへ掌のスマホが震えた。LINEの通知が静寂な廊下に響き渡る。

《やだね》

「ええっ」

まさかの返事に声が転がった。
短い言葉に添えられたのは、ジト目のうさぎさんスタンプである。コレは私がプレゼントしたもの。
慌てふためき、ハテナマークの吹き出しと、首を傾げるうさぎさんを二つも送ってしまった。

メッセージの隅に既読が付与される。

《俺は早く一咲に会いたいし、少しでも長く一緒にいたい》

《いさく 今日、ぎゅうしていい?》

「!!!」

ぎゅう!!?

《また後で》

「は、ハイ」

ゆっくり、確かに、愛を受け取る。
じんわりと体に巡る甘い熱を感じた。

きゃ〜〜〜っ。あやちゃん大好き。