甘々とロマンス中毒

みんなのサポートと私の努力が功を成し、無事に練習を終えることができた。菖くんに口酸っぱく言われていた居残り練も『とりあえず回避!』です。

玄関で新調したローファーに履き替えて。これから向かう先は渋谷。……と、スキップを奏でる足が、軽やかな通知音に呼び出されて地に着いた。

淡い単色のディスプレイを占領するメッセージに、心臓が飛び跳ねる。

「(あやちゃんだ…!)」

《ごめん ゼミの教授に捕まった》

俯き顔で、涙を流すうさぎスタンプを押した。

《伊吹にも》

次にお届けするのは、あんぐり口を開いたうさぎスタンプである。

「(伊吹さん、あやちゃんのこと離してくれなさそう。デートの先約してるのに〜〜っ。…む、ぅ)」

恨めしい気持ち半分と睨めっこ。
残り半分は、あやちゃんを心配するこころ。

《大丈夫なの?》

“彼女”の私は平静を保った。感情に任せたLINEは送らないと、いつかの美羽ちゃんに教わったから。

一拍の間もなしに、私の王子さまは続きをくれた。

《時間かかると思う》

覚悟はしていたけど、いざ答えが出たら、びっくりするくらい気落ちしちゃった。

「(今日の約束は延期かなぁ。来れないよね)」

自然と肩が落ちる。

あやちゃんは私より大人で、勉強もバイトも実習も…優先するべきコト、しなきゃいけないコトがたくさんある。仕方ないよ。

《あやちゃん、無理しないで》そう、打った。

人差し指が青いマークに伸びかかったとき。
ギフト券が届いたの。

《一咲、俺が着くまでスタバで待てれる?》

「!!」

《終わったら、すぐ行くわ》