甘々とロマンス中毒

「つか、兄貴とはどうなってんの?結構、会ってんだろ」

「!!」
「……………」

「なな、なっ。なに…急に。なんで、あやちゃん?劇のれんしゅーと関係ないでしょ」

「夏休みのイベントにかこつけて、進展あったか聞いただけだよ。一応、オレも兄貴のマンション教えたり、アドバイスして協力しただろ。後、ふつーに気になる」

咄嗟に視線を外したら、菖くんに追いかけられて。
右の頬をふに、と摘まれた。一瞬のことで、ぱっと離される。

突如、投げかけられた問いは、キャパオーバーな頭の中で“正直に答える”“誤魔化す”の天使と悪魔の天秤にかけられ、判断を鈍らせた。


「どーなんだよ。咲」

一拍置いて、ふう。と呼吸を整えた。
隠してもしょーがない。

「(……いつかはバレるコトだから、言ってもいいよね…?)」

重く閉ざした唇の端を解く。

「告白して付き合うことになったの」

「……は?」

「あやちゃんも私のこと好きって」

「え!?まじかよ」

「わ〜〜〜っ!声が大きい…!菖くん、しーっ」


人差し指を立てて騒ぐ私と、瞳をまあるくして瞬きひとつする菖くんを、美羽ちゃんたちが不思議そうに眺める。
何人かの女子は「二人の世界が始まってる〜〜」と、何故か囃して。菖くんはそんな彼女たちに睨みを効かせた。


「だから今日一日、ぼーっとしてたわけな」
「してません」

「練習始まるとき台本じゃなくて、ロルバーン開いてましたけど?すげえ、浮かれてんじゃん」

「だ か ら 違うもん!(も〜〜〜っ)」

拳を握ると、菖くんが私の両手首を掴んで真上に持ち上げた。

「ひゃああっ」

「わかりました。そう言うことにしとくわ」

「〜〜〜っ」


絶対わかってないだろ…!