甘々とロマンス中毒

𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

ごきげんよう、一咲です。
所変わって教室で劇の練習をしています。


「———…ココが菖くんの立ち位置ね。テープ貼ってる真上に立って」

「あ゛っぢい゛。しぬ…」

「ハイハイ。言い分はわかりましたよ。さっきから暑さに訴えることしかしてないよね?動かないでじっとしててくださ〜い。一咲ちゃんは菖くんの正面で、この辺りね。こっち来て〜」

「……。ハイ…ッ!」

「おっけ。じゃあ、台本10ページ目からどうぞ!」

美羽監督がパチンッと手を叩いた。

「(はぁ〜〜っ。あやちゃんに会えるまで後、一時間かぁ。ドキドキとキンチョーでいっぱい。…だけど、ふわふわの方が大きい。今日も…手、繋ぐのかな)」

「一咲ちゃー…ん。一咲ちゃん〜〜。おーい……聞こえてない?」


浮遊感に、ゆらり揺られる。
踵が持ち上がる感覚と、背中に羽が付いたみたく身軽になった心地良さにみまわれる。


「いさく」

菖くんに呼ばれて。

「一咲ちゃんっ!」

「セリフ!」

私を呼ぶ周囲の声に、意識を連れ戻されて。
弛んだ顔をぴしっと強張らせた。表情管理…!

「まあ、おばあさんの耳って、なんでこんなにおおきいの?」

「……………(大根演技にも程があるだろ)」

菖くんが眉根を寄せた。

「カット!カットーーー!」


響き渡る美羽ちゃんの声に、肩が飛び跳ねた。