甘々とロマンス中毒

大きな背中に追いつきたくて。
あやちゃんの隣に並びたくて。
その指先に触れてみたくて。
いつしかの可愛いあの人たちみたいに、蕩けた顔で王子さまの腕に体をくっつけたくて。

夜空にかかるお星様を掴むみたく、遠い場所にいるあやちゃんに、精一杯、手を伸ばした。

触れたと思えば、また離れる。
追いついたかなと一息ついたら、前を向いたときには、あやちゃんはもっと先を走っている。

恋心にしゅんとなった日は、12歳だった私に、あやちゃんからプレゼントされた『年の差なんてケセラセラ』を思い出した。

それは、恋に億劫した私を掬い上げてくれる言葉の花束…———

ふたりの“好き”が重なる。


「俺たち付き合おうか」


私の世界が色づいていく。


「一咲……まる?」


こくこく頷き、頭の上で控えめな円を作った。いっぱいいっぱいな返事に気恥ずかしさを覚えるの。
視線を持ち上げた先、あやちゃんの柔らかな笑みに胸がきゅんと甘く響いて。ころんと、目尻から新しい涙が溢れる。


「よろしくお願いします」

あやちゃんが私の右手を包んで、手の甲に口付けを落とした。

「幸せ…」と囁くあやちゃんに、こころの高鳴りが早まっていく。火照った体が内側から熱い。


「一咲、実習が終わったら、ゆっくり」

「…………」

「ふたりの時間、作ろ」

「うん」


私たちは恋人になった。