甘々とロマンス中毒

こと…と、項垂れた頭をあやちゃんの鎖骨に押し当てた。
『子どもじゃないもん』不意をついて飛び出た独り言は、あやちゃんに拾われて。「ん、知ってる」と、耳元で囁かれる。あやちゃんに敵いっこない私が悔しくなってきた。

ポカポカ。意味のない抵抗を始めた私は、あやちゃんの胸元を軽やかに握った拳で叩く。
これでもか…っ!ってくらい、いっぱい叩いたとて、あやちゃんは甘い笑い声を鳴らすだけだ。


「ふ…。かわいー」
「(あやちゃんのばかぁ)」


あやちゃんは知らないんだろうなぁ。

私の“大好き”が積もり積もって、いっぱい大きくなっているコトも、あやちゃんといるとドキドキしたり、きゅんって跳ねたり、たま〜〜に、むー…ってなるコトも。

幼い頃に芽生えた恋の花は、高校生になって、ほんの少しの“切なさ”を覚えた。

コップに注いだお水に例えるならば、あやちゃんへの想いは、コップから溢れ出ているの。


「次、会ったとき言おうと思ってた大事な話なん
だけど」

あやちゃんの低い声音が鼓膜に流れ込む。
普段より一層、落ち着いた語調に心臓が早鐘する。

「………」

「いさく、俺を見て」

あやちゃんを見上げた。私を抱いた腕が解ける。
息を……ゆっくり呑んだ。

「来月から法学部の実習行ってくる」

「そうなんだ…!どれくらい行くの?」

「一カ月くらい。後、実習終わったら法律事務所でバイトしようと思ってる。だから、今日みたいに暫くは会えない」

「…そっかぁ」

「ごめんな」


私の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれた。それを、あやちゃんが掬って目尻の縁を優しく拭う。