甘々とロマンス中毒

「パスタ、蕎麦、ラーメン。和食…ハンバーグ、ピザ……(ラーメンはこの間、食ったしな)」

指折り数える如く、あやちゃんが淡々と言う。私はそれを横で聞きながら倒れた首を元に戻して。あっ!と閃いたの。


「あやちゃんのバイト先でご飯食べたいな」

「…………」

私の弾んだ声音が、あやちゃんの瞬きに掻き消される。束の間の沈黙です。

「(高校生が行くのはまずい…?)」

睫毛をくるんと上向きに、

「いっぱい食べる一咲じゃダメ…?」
「…………」


少し強引なお伺いはあやちゃんを困らせる。

……やっぱり、お蕎麦が食べたいかも。そう、口先かけたとき、スマホを片手にしたあやちゃんが“魔法のコトバ”を言いのけた。


「伊吹にテーブル席取ってもらうよう言っとくわ」

ゆらり。伏せた瞳が持ち上がり、私を捕まえる。
くすり。唇の端が色っぽく吊り上がる。

「予約空いてるから大丈夫だって」

きゃあああっ。嬉しい…っ。思い切って伝えて良かったぁ。あやちゃんのバイト先、初訪問!

「今日、伊吹さんいるんだね(ご挨拶、ちゃんとしなきゃ。……キンチョーする)」

「ああ。一咲、何回か会ったよな」

「ウン!この間ね、ケーキ屋さんでも会ったよ」


ふうちゃんと『お久しぶり会』を開いた日。ミルクレープを頬張ってる私たちの隣席で、伊吹さんが一人、頬杖ついて誰かを待っていた。

そこには確かに食べ終えた二人分のケーキがあって。視線が交差した瞬間、話しかけられた。

「オレと会ったこと、あやみクンに喋ってもいいけど“デート”してたのは内緒ね」しー…と、人差し指を立てた伊吹さんに、秘密を共有されたのだ。