甘々とロマンス中毒

「人が多いところで恥ずかしいよ。外なのに…っ」

「ごめん。もうちょい、このまま」

ことこと。可愛く響く恋の鼓動が、私のなかで大きさを増していった。


「…もう、しょうがないなぁ」

久しぶりのあやちゃんは甘えモード…なのかな。
それとも、お疲れモード…?

「一咲をかみしめてる」
「……っ!」

不意打ちの甘々な発言にずきゅんと撃ち抜かれちゃった。

「ほんとう?」

「ん。確かめる?」


肩口に埋まっていた顔が上がる。
黒曜の双眸が艶っぽく煌めいて、揺らめいた私の双眸と交差した。どうやって?言葉にせず、こころの真ん中で問いかけるの。

私を抱きしめるあやちゃんの力が、ぐ…っと、より強まった。

「あやちゃん!?(きゃあああ)」

もちもちほっぺが、あやちゃんの胸元にぴったりくっつく。まあるい後頭部を撫でられて「ほら。…な?すげえ、ドキドキしてる」と囁いた。

忙しなく駆ける心音が鼓膜に流れる。あやちゃんのだ。何度も頷いた。「…ふ」と、優しい声が頭上に転がる。

そうして、ゆっくり離れた。私はあやちゃんの柔らかな手を手繰り寄せる。


「おすそわけ(………あやちゃん大好き)」


しなやかな指を丸めたり、握ったり。
“一咲をかみしめてる”に対して、私の体温を半分こしたつもりです。

もちろん、あやちゃんはきょとんとしている。

ふわふわな甘い恋心よりも気恥ずかしさが打ち勝つ。ぱっと手を引いた。


「…………」

「……ハイ、おしまい!」

見上げたあやちゃんの口角が緩む。

「車持って来たから送る」

「ウン。お迎えありがとう。嬉しい、ふふ」

ふにゃりと、頬が蕩けてこぼれ落ちた。

「いーえ」