甘々とロマンス中毒

ちらり…と、あやちゃんを見やった。預けた視線が揺らめき、彷徨って。ぽこぽこ浮かぶハテナが不穏な空気を纏い始める。

『暴力もケンカも反対』
『千花くん、あやちゃんに強気なんだ…?ああ見えて、喧嘩っ早い…?』
『落ち着け、いさく あやちゃんが心配 揉めそう』

『千花くんのことキライなの?』
『あやちゃんのことキライ…?なんだよね?』

ハッ。これは……っ!

「あの…あ、あやちゃん…千花くん」

私が止めなきゃ……!


「わたし……も、」

と、意を決した瞬間———…

「千花。こんなとこで何やってんだよ」
「!!」

菖くん……!?

途中まで出かかった言葉は、菖くんの呆れ声に被さった。跳ね除けられた続きは夏空に溶ける。

ふ〜〜〜…。と、憂慮の息を吐いたの。

「咲……。と、兄貴もいんじゃん。どんな組み合わせだよ」

「よ、菖。居て悪かったな」

「別にいいけど。咲の迎え?」

「まあ、そんなとこ」

「(相変わらずゲロ甘すぎるだろ。しかも、今日はくっついてて暑苦しいな……)」

菖くんが私を一瞥する。そうして、私にだけ伝わる秘密の合図を送って口パクした。

『よかったね いさくちゃん』

む、と唇を噤んだ。

『う る さ い 黙ってて』

『オレには強気かよ』

『違うもん』