甘々とロマンス中毒

後ろから抱きしめられてる。

そう気づいたのは、ローズマリーの深い香りに包まれたから。いつだって、どんなときだって私を虜にする大好きなひとの匂いに、胸の奥がじんわり昂る。

「はぁ」と、鼓膜に入り込む息切れがあまりにも大きくて、伏せた睫毛をおずおず持ち上げる。

一拍置いて振り返った。

ふいに交差した黒曜の瞳が、冷たい熱を孕んでるように感じるのは、どうして———…?

美麗な顔がゆらりと私を見つめた。


へ?え……?ええっ。

「ひゃあっ。〜〜〜っ!あやちゃん!?なんで、ココにいるの!?」


王子さまの登場は思いがけないサプライズ。
恋音の速まりよりも、言葉がつまる方が先だ。

「わ、ぁ…。ああ、あやちゃ……ん?」霧かかった輪郭をなぞるみたいに、うわ言を繰り返す私へあやちゃんは平然と言ってのける。


「言っただろ?“早く一咲の顔が見たい”って。だから、迎えに来た」

「〜〜〜〜!」

「おかえり、一咲。やっと会えたな」

キュンと甘い言葉たちに胸が高鳴った。

「ただいまぁ〜〜…」


すっぽり収まる私の体は、あやちゃんの背中に密着している。ぎゅうと更に強い力で引き寄せられた。

あやちゃんの腕は解けないや。

胸上に回された太い腕に、躊躇いながらも指先を当てる。まるで“ぎゅう”をお返ししたような行為に、ドキドキが加速する。

私からするのは恥ずかしいなぁ。だって、ほんのり、ほっぺが赤色に染まってる気がして仕方ないもん。


「(あやちゃ……苦しいよ〜〜…)」