甘々とロマンス中毒

「って言っても、来月になるな」と、あやちゃんが言う。今日は7月の下旬だ。
「ウン。……そ、だね〜…」間延びした返事が転がった。滑らかに伸びる人差し指が、私の前髪の溢れた束を掬って耳に掛ける。

あやちゃんに触られるのは“きゅん”よりも“どきどき”が勝って、体の中からじんわり湧き上がる熱に、くらくらした。

今日の恋心は駆け足気味です。


「あやちゃん、再来週はいつ空いてる?」

「1日と4日、5日」
「!」

再来週は夏真っ盛りの8月で。
あやちゃんから提示された、ある特定の日は、学校の予定も遊ぶ約束も、バイトも入ってない日だ…っ!

「じゃあ1日。その日…会いたい、です」

「おーけー。どこ行こうか」
「買い物は?」

煌めく閃きよりも先に、弾む声の方が早かった。

「あやちゃんの新しいピアス、選びたい」

いつも付けてる黒のピアスが右耳だけ寂しいのは、
どこかで落としたって聞いたの。

「いいな、それ」


マシュマロほっぺをあやちゃんが柔く摘む。
ふにっと指で押されて。戻って。その、優しくて甘い温度に「〜〜っ、あやちゃ…くすぐったいよ」と、身じろぎ。

「なんで?(大満足)」と、逆質問を食らった。やめるつもりはないらしいから、一咲は諦めました。
ふぅ…っ。幸せのため息ひとつ。


「楽しみだね」

「俺も」


ふたり、顔を見合わせてくすくすと笑った。