甘々とロマンス中毒

流れる私の視線の端っこ。
前髪を掻きながら目を細める、ちょっぴり治安悪めなあやちゃんがいたことも露知らず……

一咲便の代替えをご提案した。

「……あやちゃんが、やじゃなかったら夜、通話したいです」

ああ、と、どちらとも取れない曖昧な返しは、私の頭上に疑問符を乗せる。

逸らす瞳の行方を美麗なかんばせに戻して「LINEも送っていい…?」と。揺らめいて尋ねれば、きらり。

黒曜の宝石と交差した。それは、無機質な冷たい温度を含んでいる。

見惚れていると、骨ばった長い指が、私の指の隙間に滑り込んで。悪戯に指先をなぞる。


「それだけじゃ足りない。一咲は我慢できる?」

え…?

「俺は無理だな」

こいびと繋ぎ?


ぐい、と体ごと引き寄せられた。

「キャ…。〜〜〜っ」

浮遊感に襲われる。私はあやちゃんの膝の上に座っていて。

「(やっぱり私は、あやちゃん専用のぬいぐるみってコト…?)」

あやちゃんを見下ろし、あやちゃんが私を見上げる光景は、夏休み前にもあったのに。今日の方が一層、胸の鼓動が加速するの。

響く心音はどっちのものだろう。


「だーめ。大阪旅行も海も行かせない」

「ええっ!?」

あやちゃんが意地悪に微笑む。

「来週も会うつもりだったのに、これじゃ独り占めできないし、千花の名前聞くと余計、行かせたくなくなった」

「…………」

「……んだけど。一咲、行くの?」

と思えば、夜色の双眸が寂しげな表情を見せた。