甘々とロマンス中毒

会話のリズムに合間ができる。あやちゃんの微かな瞬きを追いかける。

私は、あやちゃんに『言わなきゃいけないこと』があって。
それは、帰りに伝えようと思ってたんだけど、菖くんが来るなら私もお暇しなきゃだし、あやちゃんのバイトも刻一刻と迫ってるから。

今、言っちゃお…!


「あやちゃん、お話があります」

「一咲…?どうかした?」

「ご報告です」

と、前置きを。
あやちゃんに向き合い、頭を下げた。

「来週の一咲便はお休みします。夏季休業です」

「は…。なんで?」

「(めちゃくちゃ驚いてる……!)」

あやちゃんからの返事は、想像してたものと真逆だった。こころの中で、あれ…?と、私は息を呑む。ハテナを浮かべて小首も傾げる。

「そ。わかった」って、いつもみたく小さく笑うと思ったのに。恋する瞳に映る王子さまは、柄になく口が開きっぱなし。どうやら、呆気に取られているよう。

「(びっくりさせちゃったなぁ)」

申し訳なく思うし、反省もします。
とは言え、報連相は一咲便の義務である。

固まってるあやちゃんを窺いながら、夏季休業に至った理由を説明した。


「千花くんのパパがね」

このときの私は少しばかり声が弾んでいたの。
旅行に行くのが楽しみで、あやちゃんにいっぱい共有したくて。

「一泊二日の旅行券を会社で貰ったから、みんなで大阪に遊びに行くんだ〜〜。あやちゃん、インスタ見てるから知ってるよね?」

だから、甘い蜂蜜色をした前髪に隠れて、あやちゃんの眉間が寄っていることも知らずにいたんだ。

「ああ。ミウちゃんが載せてたやつな。それが来週ってことか(間違ってブロックしたのは黙っておこう)」