甘々とロマンス中毒

魚を釣った後は、収穫した野菜とフルーツで料理をする。出来立てのサンドイッチやパイを住民さんにお裾分けして、会話も楽しんだ。

数学の課題はちょこっとだけ。

難しい“えっくすにじょー”の問題も、あやちゃんの丁寧な教え方のお陰で解けるようになりました。

あやちゃんが先生だったらノートに落書きもしないし、集中してちゃんと授業も聞くのになぁ。
なんて、よろしくない煩悩が妄想を始めたから、脳内でもう一人の私がぽこんっと頭を叩いたの。

𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

チーズケーキ半分。クッキークリームのアイスも半分。隣にはあやちゃん。
ゲームの続きしていいよ、と甘やかされる一咲の幸せは最高潮です。

魚釣りに夢中なところへ、あやちゃんのスマホがささやかな着信を鳴らした。

私の意識がそれて。

「悪い。菖から」

あやちゃんはリビングを出たけど、一分も経たずに戻って来たの。

菖くんがあやちゃんに電話するって、よっぽどのことだ。なにかあったのかもしれない。

ぼやける曖昧な疑問が不安と心配を過ぎる。
菖くんの“幼なじみ”として聞いてもいいかなぁ。

と。ゆらめき、隣で胡座をかくあやちゃんを窺った。見つめれば、深い黒曜色の双眸と視線が交差する。

「あやちゃん」そう呼んで、次に「菖くん、大丈夫なの?」震えながらに繋ごうとした言葉が、喉の奥に閉じ籠った。

あやちゃんの手が私を捕まえる。

ぱちん。緩やかな瞬きいっかい。桜色した星屑たちが、私の瞳の中で舞ってる気がするのは、

「いさく」

お砂糖まみれの声で名前を紡がれたから。