甘々とロマンス中毒

背中越しに体温が伝わった。触れたら火傷しちゃいそうな、甘々に蕩けた熱。
コントローラーを持つ指先と重なったあやちゃんの大きな掌に、ぴくりと反応して。

わぁ…首の後ろまで熱い。

ハーフアップにセットした髪が、林檎色に染まっているであろう首筋を時折、掠める。

魚釣りの操作方法を教わってるのに、俯いた視線は手元を捉える。

「一咲が前向くまでこのままだな。顔、上げないの?(かーわい)」

意地悪なあやちゃんの声が愉しげに揺れる。

はぁ…っ。ふー…。

忙しなく走る恋心を落ち着かせ、ドキドキは最小限に抑えてテレビを見た。

ヨシッ。今度こそ。

「ん。こうやって…」

「こう?」

灰色に描かれた魚影が機械音を立てた。瞬間、あやちゃんの指が私の親指を軽く押す。えいっ。

「キャ〜〜〜。やったぁ。あやちゃん、すごい!釣れたね。へへ(しかも鯛だぁ)」

はしゃぐ私を背後から覗き込み「そ。上手」と褒めてくれた。王子さまの余裕たっぷりな微笑みは、恋する乙女を溺れさせる刺激的な毒である。

とは言え、私だって負けてられない。キラキラあやちゃんにキュンとしてない素振りで平常心を装った。

「どうしたらいい?」

「たぬきんとこ売りに行く?まだ、持ち物少ないなら釣ってもいいけど」

確認すると空きがあって。

「………もうちょっと釣りたい(このゲーム、ハマってしまった)」

「いーよ」

頭の横を撫でつけられる。あやちゃんは慣れた手つきだ。口を半開きにして、ふわわ〜と余韻に浸る私に、あやちゃんが笑うから、不覚にもときめいてしまった。

私の意思は弱々すぎる。