甘々とロマンス中毒

お兄ちゃんと一葉から教わったコツを復唱する。
Lボタンを左右に動かして右手側のボタンは離さない。連打もしっかり。

「(うんっ、完璧。できた〜!ふふ)」

迎えた初戦、スタートは好調です。

余所見厳禁なことはじゅうぶん承知だけど、隣からふんわり漂うあやちゃんの香水に、ぽわぽわ〜ってなっちゃった。

束の間の夢心地から覚めると、壁にぶつかりそうになっていたので慌てて避ける。ジャンプはどのボタンだっけ……きゃっ。

コントローラーの操作に気を取られ、あたふたしてるところ早速、追い越された。

独走1位の順位が下がっていく。

予想外の出来事に呆然とした。呆気に開いた唇から、淡い吐息が宙を舞う。

あれ…どうして?と小首を傾げた。

「エ…エ??〜〜〜〜っ(わ〜〜〜)」

必死に追いかける私の体は、ビビットカラーの赤い車の走行に合わせて傾いて。斜めに揺れた頭が、ぽてっとあやちゃんの肩に触れて。

見かねたあやちゃんが、くくと声を押し殺して笑うの。拗ねた私は頬をまあるく膨らませる。よしよしと、前髪を撫でられた。

む〜〜…。ダメだぁ。あやちゃんに勝てないや。

四回戦の結果、惨敗です。
最下位を更新し続けたのは、ある意味凄いと思う。

くたっ。テーブルに伏せた私は白旗を上げた。

「一咲の出来そうなやつ選んでいいよ」

分け与えられる優しさが私の心を掬った。
大好きなあやちゃんは、かっこよさと優しさと甘さでできているに違いない。きっと、そうだ。

絆されて、お言葉に甘えて選んだのは、動物たちとのんびり島で暮らすゲーム。


「ねえ、一咲。画面見なきゃダメじゃん」


一咲便も、このゲームも“癒し”がコンセプトのはずが、なぜかドキドキが勝ってる。きゅー…っと胸の高鳴りも。

あやちゃんに後ろからハグされるの、まだ慣れないなあ。