甘々とロマンス中毒

𓂃❁⃘𓈒𓏸

その人は、美麗な顔にのせた爽やかな笑みを一向に剥がさない。一咲がリビングへ入っても、一咲に似た母親が気を利かせて彼女の後を追ってもだ。


「遅くまで連れ回してすいませんでした」

「無事に帰って来たから許す。……今日だけ」

「ありがとうございます。次、遅くなる日があれば、一咲じゃなくて俺から連絡します」

「一咲から欲しい。……やっぱり、あやみくんから…いや、うちは門限20時なんで、それまでにちゃんと帰して。て言うか、家まで送り届けてね」

「わかりました」


と。二人だけの約束事に頷いた。

一咲の父親を真っ直ぐ見据える。お互い、180を優に超えるのにその身長差はたった数ミリ。父親の方が僅かに背が高い。同じ目線に立つだけで圧倒される。


「———…で、話があるんでしょ。聞くよ」


睨まれないだけマシだろ、と腹を括った。
「おと…」そう続けて言葉を濁す。呑み込んで、胸の奥がぐるぐると煩いのを無視した。


「響さんに、ちゃんと言っておこうと思って」

「なに?」

「俺、一咲が好きです。大事にします」