甘々とロマンス中毒

家に着くとパパとママが出迎えた。

「お久しぶりです」
「こんばんは。あやみくん、久しぶり。今日は一咲のこと送ってくれてありがとね」

頭を下げるあやちゃんは、パパたちと玄関先で話続けて。

私はと言うと、同じタイミングで帰宅したお兄ちゃんにリビングへ連れてかれたの。ぴりっと冷えたお兄ちゃんの掌にびっくりしちゃった。

「食べるだろ?」尋ねる左手にはコンビニの袋。中からプリン三個が覗く。


「実は今、ダイエット中で…。ちょっと太ってるの。おなかの上が、ぽよんってなってるんだよね(ラーメン食べといてアレですが)」

「そう?太っても可愛いから気づかなかった」
「……ン。やっぱり食べます」

甘いお兄ちゃんに妹はチョロい。
ダイエットは本日、休息。プリンを頂くことにします。私と一葉の好きなホイップクリーム付き。

「じゃー、ミルクティー淹れるから、一咲は着替えてきな」


リネンワンピースに着替える。お兄ちゃんが準備してくれたプリンを食べる。蜂蜜入りミルクティーも飲む。テレビの画面は流行りのドラマが流れていて、一葉が夢中だ。お兄ちゃんはスマホを見つめ、気怠げな息を吐く。ママがやって来て鼻歌を口遊む。

一方、私は戻らないパパに気を取られる。

僅か5分の間で扉を見つめること…三回。
あ…っ。今で四回になった。

「(なんの話、してるんだろう?)」

———…ガチャン

再び視線を投げかけようとしたそのとき、扉が閉まる重音が聞こえた。あやちゃん、帰っちゃったんだ。

おやすみを言えなかったのが心残りで、じわ…と寂しさが込み上げる。こころが、きゅうと締まる。

……ウン。後でお礼と一緒に、LINEで“おやすみ”って伝えよう。