「玉置さんは陶史郎さんが嫌いですか?支倉のほうが大事ですか・・・?」
訊かなくちゃいけない気がしたから電話に出た。玉置さんの目的とか理由は考えなかった。“ほんとう”を知らないと、もっと間違ったままだ。
スマホの向こうがしんとして、それから呟くように返った。
『どうでしょうね』
白でも黒でもない灰色の答え。
『・・・若にとって裏切者の私が言うことでは』
冷たく聞こえた。わざと悪者でいる気もした。だってまだ『若』って呼んでる。
「玉置さ」
『若には支倉を継いでもらいます』
遮るように淡々と玉置さんが続けた。
『ヤクザは所詮、堅気にはなれませんよ』
その夜、一花が寝入った頃に帰ってきた陶史郎さんは。打ち明ける前に、温度のない微笑みを浮かべ、かがんで耳許に優しく囁いた。
「今日の樹はいけない子だったね。どうして約束やぶったの?」
まるで見てたように。そのまま手を引かれ、背中で扉が静かに閉まる。
「玉置にたぶらかされるなんて、お前は本当に可愛いねぇ」
眼が綺麗に弧を描きながら、顔が甘く近付く。謝ることも許されない口が塞がれる。
「そんなに僕にお仕置きされたかったなんて、・・・知らなかったよ?」
訊かなくちゃいけない気がしたから電話に出た。玉置さんの目的とか理由は考えなかった。“ほんとう”を知らないと、もっと間違ったままだ。
スマホの向こうがしんとして、それから呟くように返った。
『どうでしょうね』
白でも黒でもない灰色の答え。
『・・・若にとって裏切者の私が言うことでは』
冷たく聞こえた。わざと悪者でいる気もした。だってまだ『若』って呼んでる。
「玉置さ」
『若には支倉を継いでもらいます』
遮るように淡々と玉置さんが続けた。
『ヤクザは所詮、堅気にはなれませんよ』
その夜、一花が寝入った頃に帰ってきた陶史郎さんは。打ち明ける前に、温度のない微笑みを浮かべ、かがんで耳許に優しく囁いた。
「今日の樹はいけない子だったね。どうして約束やぶったの?」
まるで見てたように。そのまま手を引かれ、背中で扉が静かに閉まる。
「玉置にたぶらかされるなんて、お前は本当に可愛いねぇ」
眼が綺麗に弧を描きながら、顔が甘く近付く。謝ることも許されない口が塞がれる。
「そんなに僕にお仕置きされたかったなんて、・・・知らなかったよ?」



