溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~

初めての街が支倉の家からどのくらい遠いのかも、スマホは答えをくれると思う。・・・でも陶史郎さんが教えないことは、訊かない。

あれから二ヶ月ちょっと、一花はいつの間にか出来ることが増えた。

仰向けから転がったり、ふにゃふにゃだった体を支えたらおすわりしたり。成長してる。大人の事情は関係ない。

冷たかった冬もいつの間にか風が温くなった。ベランダから見下ろせる近くの公園は、先週まで桜が残ってた。今は柔らかそうな緑がこんもりしてる。

同じ時間が流れてるはずなのに、自分はあとから追いかけてる気がする。

陶史郎さんはずっと隣りにいるのに。優しいのに。心がここにいない気がする。

胸の真ん中に穴が空いて、水が流れ続けるみたいに息がしづらい。

迷惑かけないように奥さんとお母さんを頑張って、陶史郎さんが笑ってくれればそれでいい。

たまに怖い眼をしても、強い人だから、本当はなにか我慢してたのかもしれなくても、笑う顔だけ信じてる。

信じてればいい。…玉置さんにも言われた。

陶史郎さんが望む自分じゃないと嫌われる。捨てられるくらいなら殺されていい。陶史郎さんが望むならなんでも。

・・・『なんでも』?

陶史郎さんの『本当』をなんにも知らないのに・・・?