再逢  完


事件にあった日から毎日日髙さんの
部屋で眠ることに随分と慣れてしまい、
その腕の温かさの中では不安にならず
仕事もそれなりにこなしていた

でも、1人になる時などは背後が気になったり大切なお客様だと分かっていても男性の方とエレベーターに乗ったり
お部屋案内の際に2人きりという状況には今だに怖さが拭いきれないでいる

逃げない‥‥逃げたくない‥‥

日髙さんも時間のことは花苑家に潰されるだろうと言っていたが、本当にそうなってしまった‥‥

どうしてこんな思いをしたのに、悪いことをした人たちは罪にならないのだろうか?

「はぁ‥‥」

やりきれない思いが交差しつつも庭仕事を終えてホテルに向かって歩いていると
一台の高級車が停まり、運転手が後部座席のドアを開けるとそこから降りてきた
人物を見て固まった

‥‥嘘ッ‥‥!!

思わず手に持っていたバケツや道具類を落とすと両手で口元を覆う

あれほど自分に酷いことをした相手が
何事もなかったかのようにここを訪れたことにも驚いたが、それに加えてエントランスから出てきた支配人が花苑様の手を取りエスコートしているのだ