意識がなくなる直前に、支配人が私の方を見て目に涙を溜めているのが見えると、私の両目からも涙が溢れた


『‥圭吾さん?』

『鈴子‥‥長い間1人にしてしまった
 俺を許してくれるかい?』

懐かしい優しい眼差しを向けられ、鈴子は夢でも見ているような幸せに包まれる

『私は誰も憎んでも恨んでも
 おりません。‥‥ただ‥ただあなたの
 幸せをいつも願っておりました。』

『鈴子‥』

腕を引かれて温かい腕の中に抱き締め
られると、もう二度と包まれることのないと思っていた温もりにしがみつく

聞きたいことは沢山あった。

ハルさんと結婚しなかったことや、伽耶達といつ知り合ったかなど‥‥

『己の心に嘘をついてまで生きる選択
 をしなかっただけだ‥‥。生涯
 愛する人は1人だけだと‥‥。
 それからは、君がいつも誰かの
 為に尽くしたように、様々な支援を
 行い、君の妹夫婦とも出会った。』

抱き締める腕に力が込められると、
また瞳から涙がどっと溢れ出す

『伽耶から鈴子が肺病を患い、施設で
 一人亡くなったと聞かされ、その場に
 いられなかった自分を悔やんだよ‥
 寂しい思いをさせてしまったね。』

圭吾‥さん‥