「怒ってませんか‥?」

『怒ってないよ。ただ‥瑆との距離感
 には目を見張るものがあるけどな。』

ククッと喉を鳴らすように笑う支配人
が、私の髪を撫でてもう少しだけ抱き締める腕に力を込めた。

『俺の両親が花苑様に関わっている
 以上、君との事が伝わればすぐに
 何かしら行動を起こすはずだ。
 ‥彼らはそういう人達だから。』

「私に何か出来る事はありませんか?」

腕から抜け出し、支配人の綺麗な顔を
見つめた。

地位も立場も違う私が出来ることなんて
きっと何もないかもしれない‥‥

でも‥‥

『前にも言ったが香那はホテリエとして
 恥じない姿で堂々としていればいい。
 心配いらないよ。あとは‥そうだな
 ‥‥君に触れたいと言ったら困る?』

ドクン

触れるって‥‥どれくらいなのだろうか
聞いたら逆に困らせてしまう?

心を許した好きな人に触れられて嫌な
はずないのに、支配人はやっぱりとても
紳士だと思える